高齢者と転倒について

高齢になると転んだことがきっかけになって、思わぬ大事に至ってしまうことがあります。

 

◆80代になる私の祖母も・・・

以前、自宅で転んで骨折してしまったことがあります。その時は幸いにも入院することもなく、疼痛と若干の痺れが残る程度で、通常に生活に戻ることができました。本人は「躓いただけなのに」と驚きながら落胆していましたが、家族の中では「怪我をしたのが頭じゃなくて良かった。車イスになったら大変だったね」と話をしていたのを覚えています。実際に私の自宅は3階まで階段を昇る必要があるため、骨折したと聞いたときは「介護」の二文字が頭をよぎりました。

 

◆本当に怖いのは入院すること

調べてみますと、骨折など大怪我をすると救急病院に搬送され、状態が良くなると次にリハビリ病院、老人保健施設(老健)を経て在宅生活に戻っていくようです。

しかし、リハビリまでの長い入院生活により廃用性症候群で足腰が弱って歩けなくなってしまうこともあるそうです。さらに高齢者特有の一時的な混乱や、本人の精神的な落ち込みや不安感、弱気になる、刺激の少ない入院生活から認知症の発症がみられるなど、心身ともに変化が起こりやすいようです。

 

◆介護サービス利用のきっかけ

介護の相談を受けていると、やはり転倒した際に怪我をしてしまい、心配になった子供たちが相談するケースがかなり多いです。転倒から退院まで短期間のうちに(およそ3、4ヶ月の間)上記のようなことが起こると、以前のような生活に戻ることが難しいと判断されるようです。その中でも特に、独り暮らしの両親を持つ家族からとても多いです。

 

◆高齢者の独り暮らしと安全対策

本人に決して無理をさせないようしましょう。特に夏の草むしり、冬の雪かきなど、ギックリ腰や、圧迫骨折が原因で動けなくなってしまうこともあります。また室内でも転倒しにくくする工夫が必要です。数センチの段差でも転倒のリスクがあります。例えば絨毯は意外に躓く原因にもなります。他にも手すりを付けるなど、バリアフリーを目指したリフォームも視野に入れましょう。介護保険では介護サービス以外にもリフォームも対象となることがありますので、行政の窓口に相談することをお勧めします

また、何か起こる前に老人ホームなど施設に入ることも一つの対策です。車いすになってからの入居よりも、自分の足で暮らせることを重要と考えるもの一つかもしれません。高齢の家族の一人暮らしをいつまで続けさせていいのか、家族で相談をしましょう